【東京の課題】「異状死」の定義と高齢者×一人暮らしの増加問題

この記事は、東京23区における「異状死」の現状とその背景、さらに社会全体で取り組むべき課題について詳しく知りたい方向けに執筆されています。
特に、高齢化や一人暮らしの増加がもたらす影響、そしてその対策について考える内容です。この問題は決して他人事ではなく、社会全体で向き合うべき重要なテーマです。


目次

そもそも「異状死」とは?基礎知識を押さえよう

異状死の定義とは

医師法 21 条に「医師は,死体又は妊娠 4 カ月以上の死産児を検案して異状があると認めたと
きは,24 時間以内に所轄警察署に届け出なければならない
」と規定されています。

異状として届け出る必要がある状態は以下の状態です。

【1】外因による死亡(診療の有無、診療の期間を問わない)
(1)不慮の事故

  1. 交通事故
    運転者、同乗者、歩行者を問わず、交通機関(自動車のみならず自転車、鉄道、船舶などあらゆる種類のものを含む)による事故に起因した死亡。
    自過失、単独事故など、事故の態様を問わない。
  2. 転倒、転落
    同一平面上での転倒、階段・ステップ・建物からの転落などに起因した死亡。
  3. 溺水
    海洋、河川、湖沼、池、プール、浴槽、水たまりなど、溺水の場所は問わない。
  4. 火災・火焔などによる障害
    火災による死亡(火傷・一酸化炭素中毒・気道熱傷あるいはこれらの競合など、死亡が火災に起因したものすべて)、火陥・高熱物質との接触による火傷・熱傷などによる死亡。
  5. 窒息
    頸部や胸部の圧迫、気道閉塞、気道内異物、酸素の欠乏などによる窒息死。
  6. 中毒
    毒物、薬物などの服用、注射、接触などに起因した死亡。
  7. 異常環境
    異常な温度環境への曝露(熱射病、凍死)。日射病、潜函病など。
  8. 感電・落雷
    作業中の感電死、漏電による感電死、落雷による死亡など。
  9. その他の災害
    上記に分類されない不慮の事故によるすべての外因死。

(2)自殺
死亡者自身の意志と行為にもとづく死亡。
縊頸、高所からの飛降、電車への飛込、刃器・鈍器による自傷、入水、服毒など。
自殺の手段方法を問わない。
(3)他殺
加害者に殺意があったか否かにかかわらず、他人によって加えられた傷害に起因する死亡すべてを含む。
絞・扼頸、鼻口部の閉塞、刃器・鈍器による傷害、放火による焼死、毒殺など。
加害の手段方法を問わない。
(4)不慮の事故、自殺、他殺のいずれであるか死亡に至った原因が不詳の外因死
手段方法を問わない。

【2】外因による傷害の続発症、あるいは後遺障害による死亡
例)頭部外傷や眠剤中毒などに続発した気管支肺炎
  パラコート中毒に続発した間質性肺炎・肺線維症
  外傷、中毒、熱傷に続発した敗血症・急性腎不全・多臓器不全
  破傷風
  骨折に伴う脂肪塞栓症   など

【3】上記【1】または【2】の疑いがあるもの
外因と死亡との間に少しでも因果関係の疑いのあるもの。
外因と死亡との因果関係が明らかでないもの。

【4】診療行為に関連した予期しない死亡、およびその疑いがあるもの
注射・麻酔・手術・検査・分娩などあらゆる診療行為中、または診療行為の比較的直後における予期しない死亡。
診療行為自体が関与している可能性のある死亡。
診療行為中または比較的直後の急死で、死因が不明の場合。
診療行為の過誤や過失の有無を問わない。

【5】死因が明らかでない死亡
(1)死体として発見された場合。
(2)一見健康に生活していたひとの予期しない急死。
(3)初診患者が、受診後ごく短時間で死因となる傷病が診断できないまま死亡した場合。
(4)医療機関への受診歴があっても、その疾病により死亡したとは診断できない
場合(最終診療後24時間以内の死亡であっても、診断されている疾病により死亡したとは診断できない場合)。
(5)その他、死因が不明な場合。
病死か外因死か不明の場合。

(日本法医学会ホームページより  http://www.jslm.jp/public/guidelines.html#guidelines

異状死ってこんなに定義があるんですね。。
一言で言うと死因が不明確な場合や外的要因が疑われる場合を指します。

異状死の意味と具体例

上記の通り、「異状死」とは、自然死や病死とは異なり、死因が不明確な場合や外的要因が疑われる場合を指します。
こうしたケースでは、死因を解明するために検案や法医解剖が必要です。具体的には以下のような事例が含まれます:

  • 突然死や死因が不明な場合
  • 事故や事件が関与している可能性がある場合
  • 長期間発見されず、死因が特定できない場合
  • 身元不明の遺体が発見された場合

東京都監察医務院は、異状死の原因究明を行い、事件性がある場合には警察の捜査に繋げる重要な役割を担っています。
しかし、近年では高齢化や一人暮らしの増加が「異状死」をさらに深刻化させています。


東京23区での「異状死」の現状と背景

高齢者が異状死の7割を占める現実

2022年のデータによると、東京23区で発生した異状死の約7割が65歳以上の高齢者でした。この背景には次のような要因があります:

  • 高齢者人口の増加
    東京23区は日本全国と同様に高齢化が進んでおり、65歳以上の人口が増え続けています。これに伴い、病気や孤独死のリスクが高まっています。
  • 持病を抱える人が多い
    高齢者は慢性疾患を抱えることが多く、急激な体調悪化や突然死が起こりやすい状況にあります。
  • 社会的孤立の増加
    年齢を重ねるとともに家族や友人との関係が薄れ、孤立する高齢者が増加しています。この孤立が、異状死の発見遅れや未然防止を難しくしています。

高齢者の孤立は、「一人暮らし」という生活スタイルと密接に関係しています。

一人暮らしの異状死が急増

2022年に東京23区で発生した一人暮らしの異状死は8762件で、前年の7544件から大幅に増加しました。一人暮らしの高齢者では、以下の問題が特に深刻です:

  • 体調不良に気づかれない
    同居人がいないため、体調の急変に気づいてもらうことが難しくなります。
  • 発見が遅れる
    隣人との交流が少ない場合、体調不良や異常があっても近隣住民に気づかれるまで時間がかかります。
  • 孤独感の影響
    一人暮らしの孤独感やストレスが、健康に悪影響を与えるケースもあります。

このような背景から、東京23区では一人暮らしの高齢者が孤独死や異状死のリスクにさらされています。


死後発見の遅れがもたらす深刻な問題

長期間発見されない異状死の現状

東京都監察医務院の調査によれば、一人暮らしの異状死の中には、死後10日以上経過した事例が2371件、そのうち30日以上経過した事例が965件もありました
発見が遅れることで、次のような問題が発生します:

1. 死因究明の困難化

遺体が損傷すると、事件性の有無や正確な死因の特定が難しくなります。
このため、不慮の事故や事件が見逃されるリスクが高まります。

2. 遺族への心理的・経済的負担

遺体の損傷が進むと、遺族にとって精神的なショックが大きくなります。
また、葬儀費用や特殊清掃費用など、経済的な負担が増えることも問題です。

3. 周辺環境への影響

遺体の腐敗が進むと、衛生面の問題や近隣住民への悪臭被害が発生する場合があります。

このように、発見の遅れは本人や家族だけでなく、地域社会にも影響を及ぼす深刻な問題です。


異状死の増加を防ぐために必要な対策

地域社会で高齢者を見守る取り組み

異状死の増加を防ぐには、高齢者が孤立しないよう、地域社会全体での見守り活動が重要です。
具体的には以下の取り組みが考えられます:

  • 定期的な訪問活動
    自治体や地域ボランティアによる訪問活動を強化し、高齢者の安否を確認します。
  • 近隣住民との交流促進
    地域の行事やサロン活動を通じて、近隣住民が気軽に声をかけ合える環境を作ることが重要です。
  • 声かけ運動
    隣人同士で日頃から「おはよう」や「最近どうですか?」と声をかけ合うだけでも、異状死の予防につながります。

これらの取り組みは、高齢者自身の安心感にもつながり、生活の質の向上にも寄与します。

昔ながらの下町のような地域は別として、ご近所付き合いがまったくない地域も少なくありません。
人生の先輩として高齢者との付き合い方も考えないといけません。

テクノロジーを活用した見守り

高齢者の見守りには、テクノロジーの活用も効果的です。例えば:

  • 見守りセンサーの導入
    家の中での動きを感知するセンサーを設置することで、異常があれば早期に通知されます。
  • 緊急通報システム
    高齢者が異変を感じた際、簡単に家族や支援機関に連絡できる通報装置を利用します。
  • 見守りアプリの活用
    家族がスマートフォンで高齢者の生活状況を確認できる仕組みも増えています。

これらの技術を導入することで、高齢者の安全性を大幅に向上させることが可能です。

至るところに監視カメラがある時代ですが、室内に引きこもっていると発見が遅れます。
見守りカメラなどで様子を見ることができればいいですね。


一人暮らしの高齢者を支えるための行政と民間の連携

行政の取り組みの強化

行政は以下のような対策を進める必要があります:

  • 福祉サービスの拡充(訪問看護や訪問介護の強化)
  • 孤独死対策に特化した予算の確保
  • 高齢者向けの住宅政策やバリアフリー化の推進

民間団体や地域の支援

民間団体や地域ボランティアも、高齢者を支える重要な役割を担っています。例えば:

  • 定期的な訪問活動を無償または低価格で提供
  • 高齢者同士の交流イベントを企画
  • 地域コミュニティ内での助け合い活動を促進

行政と民間が連携し、支援体制を充実させることで、異状死の予防と発見の遅れを防ぐことが期待されます。

今後の見通しと私たちにできること

東京都監察医務院は、異状死の増加が避けられない状況であると指摘しています。
しかし、この問題に向き合うことで、異状死の発生を減らし、より良い社会を築くことは可能です。
私たち一人ひとりにできることを具体的に考えてみましょう。

周囲の人々に目を向ける重要性

異状死は、高齢者や一人暮らしの問題に限らず、社会全体の課題として捉える必要があります。
以下の行動が、異状死の予防に役立ちます:

  • 気になる人に声をかける
    「最近どうですか?」「何か困っていることはありませんか?」といった声かけは、小さな行動ながら大きな安心感を生みます。
  • 地域活動への参加
    地域の見守り活動や高齢者向けイベントへの参加は、孤立を防ぐ効果的な手段です。自分自身が地域の一員として役割を果たすことが重要です。
  • 専門機関やサービスの利用を勧める
    一人暮らしの方には、見守りサービスや緊急通報装置の導入を勧めるのも有効です。

自分自身の未来を見据えた準備

現在は元気であっても、誰もが将来的に一人暮らしの高齢者になる可能性があります。
以下のような準備を進めておくことで、不安を軽減できます:

  • ライフプランの見直し
    将来に備えた住居選びや生活設計を早めに考えておくことが重要です。
  • 家族や友人との関係を維持
    定期的に連絡を取り合い、孤立しない環境を築くことが安心につながります。
  • 地域コミュニティへの参加
    高齢者になったときに頼れる仲間を作るため、地域活動への積極的な参加が役立ちます。

異状死を減らす社会を目指して

高齢化社会の進行に伴い、異状死や孤独死の問題は、さらに拡大することが予想されます。
この問題を解決するには、行政、民間団体、地域社会、そして私たち一人ひとりが協力して取り組むことが不可欠です。

私たちが目指すべき未来

  • 高齢者が孤立せず、安心して暮らせる社会
  • 異状死や孤独死を防ぐ仕組みが整った地域
  • 誰もが自分らしく生きられる環境

これらを実現するためには、他者に関心を持ち、支え合う文化を育てることが必要です。異状死の問題は決して特定の人々だけの課題ではなく、社会全体の未来に関わるテーマです。今日からできる小さな行動を積み重ねていきましょう。


この記事を読んで、異状死について理解を深め、一歩踏み出すきっかけになれば幸いです。

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